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<インタビュー>日本最大級のフラッシュセールサイト「GLADD」がMiraklを採用。そのITチームが語る、導入時の開発のポイントとは

Hidekatsu Matsuyama - 2023年9月21日
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こんにちは。Mirakl マーケティングディレクターの松山です。

2023年6月、la belle vie様がフラッシュセールサイト「GLADD」で、Miraklのマーケットプレイスを導入しました。これによって「GLADD」は、自社の在庫だけでなくパートナーブランド様との在庫連携が可能になり、従来の期間限定のフラッシュセールに加えて、常設の商品展開もできるようになりました。

マーケットプレイスの導入に伴う開発は、la belle vie様のテクノロジーソリューションズ&イノベーション部の皆さま方が中心となって行い、Miraklのカスタマーサクセスチームもそれをサポートさせていただきました。そこで今回は、当社カスタマーサクセスの内藤が開発に携わった皆さまに具体的な開発経験についてお伺いし、その中から今後Miraklのマーケットプレイスの開発に携わるエンジニアの方々に役立つナレッジを共有できればと思います。

<今回お話を伺った方>

  • 野口 大輔 様(ディレクター)

  • 客本 裕一郎 様(アプリケーションチーム リーダー)

  • 中須賀 圭佑 様(アプリケーションチーム エンジニア)

  • 田名部 隼一 様(アプリケーションチーム エンジニア)

Miraklの最初の印象は

内藤:まずは、自己紹介をお願いします。

野口様:今回の開発では、開発側のプロジェクトマネージャーと、一部のテクニカルマネジメントも担当していました。具体的には、要件の定義やフィジビリティのチェック、最終的な方向性の決断などを主に行っていました。

田名部様:私は、MiraklのAPIとの連携のほか、ドキュメントに関する質問があればMiraklのカスタマーサクセスへの問い合わせなども担当していました。

客本様:私は、Mirakl連携の開発チームのリーダーを務めていました。プログラムを書くというよりも、基本的な設計の部分などに主に参画していましたね。

中須賀様:私は、MiraklのAPIの中でも、特に商品連携とオファー周りの最終トップ実装の部分、そして弊社側の実装をメインで担当していました。

内藤:ありがとうございます。御社にMiraklを採用していただいたのは、2022年10月頃でした。当時、Miraklにはどのような印象を持っていましたか。

野口様:簡単にいろいろなことができるのだろうというイメージがあったので、正直、開発としてもそこまで難易度は高くないのではと思っていました。でも、蓋を開けてみればやらなければいけないことは山ほどあり、そのギャップが大きかったですね。

客本様:私は新しいソリューションを追加すると聞いて、まだ自社内で使ったことのない技術を設計に取り入れ、既存のコードではできないことに挑戦するチャンスだなと思いました。でも、開発スケジュールがタイトだったので、それで本当にできるのかという不安もありました。

中須賀様:正直なところ、最初に説明を聞いた時点では、Miraklがどのようなソリューションなのかというイメージがあまり湧かず、その理解に少し時間がかかったことを覚えています。

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Miraklの開発体制や進め方、および苦労したポイントとは

内藤:実際の開発についてもお伺いしたいのですが、Miraklの導入においてどのようなツールを使って、どのような体制で進めていきましたか。

野口様:連携部分の開発言語には、TypeScriptを用いました。これは、弊社にとってはチャレンジでしたね。タスク管理はRedmine、チーム間のコミュニケーションは文字ベースであればSlack、オンラインミーティングであればGoogle Meetを活用していました。Miraklのカスタマーサクセスとのやり取りも、主にSlackを使っていましたね。

内藤:チームの中では、各メンバーでどのように開発の役割分担を行いましたか。

野口様:コードを書いたのは実質3人で、それぞれ別の機能フレームを担当し、同時並行で進めていきました。開発では、商品情報と実際のオーダー情報をどのように扱っていくかということが課題として大きかったので、その2つの機能はベテランの2人に担当してもらいました。もう1人はエンジニア経験2年目の若手だったのですが、新しく構築する商品情報の部分を任せました。プラスアルファで、フロントエンドと検索は別のエンジニアに担当してもらいました。

田名部様:同時並行で複数の開発を進めていったので、開発期間が大きく圧縮できました。限られた人数での開発だったので、この形がベストだったのかなと思います。

客本様:2年目の若手の子は、この開発を通してかなり成長したと感じました。既存システムの改修とは違って新しいものをつくっていくので、イチから自分で考えていろいろ挑戦できたことが大きかったのかなと思います。

内藤:実際に開発を進められる中で、苦戦したポイントがあれば具体的にお話しいただけますか。

客本様:MiraklのAPI一覧のドキュメントを理解することに苦労しましたね。オプショナルの項目だらけだった上に、その説明がハイレベルすぎたり、説明が不足していたりしていたので、実際に動かしてみないと分からないことが多くありました。また、実際に動かしてみて、オプショナルだけれど実は必須だと気付いたものもありました。

野口様:自分たちの活用したい方向性とツールの方向性が合っているのかという部分は、技術的なスペックから読み解きにくかったので、苦労したなと思います。

あと、全てのAPIの名前がコード番号になっているため、慣れるのにも時間がかかりました。日本の開発文化であれば、分かりやすくエンドポイントなどの名前を使うことが多いのですが、コード番号だとどれがどれだか分からなくなってしまうことがありましたね。

中須賀様:私は、開発の段取り時にJavaScriptのSDK(ソフトウェア開発キット)があれば嬉しかったなと思います。今は、JavaとPHPのSDKだけなんですよね。これは今後に期待したいです。

内藤:ご要望ありがとうございます。先ほど、開発期間についても少しお話がありましたが、     特に検討に時間を要した点はありましたか。

客本様:Miraklと連携させようとしている弊社側のシステムのつくりが特殊なので、そこにどのようにして組み込んでいくのかという難しさがありました。

野口様:既存のフラッシュセールとは完全に別のサイトを立ち上げるのであれば、もっと速くスムーズに開発できたのかなと思いますね。ただ、既存のサイト内に立ち上げたお陰で、そのトラフィックを有効活用することができました。

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”ファーストペンギン”だからこそ見えてきたMiraklのソリューションの特徴

内藤:皆さんは他社のSaaSもご活用されていると思うのですが、他社とMiraklを比較して、感じることはありますか。

田名部様:正直、他社のSaaSよりも優れていると感じます。APIの数が多いので、その中から自社に一番マッチするものが見つけられますし、いくつかのAPIを組み合わせてカスタマイズすることもできますから。

内藤:ありがとうございます。一方で、皆様は日本で初めてMiraklを導入いただいたお客様になりますが、開発を進められていく中でMiraklのソリューション独自の特徴や癖として感じられたことはありますか。

野口様:Miraklのデータモデリングは、一つの最適解だなと思えるところが多いですね。ただ、オプショナルの部分が多すぎるたり細かすぎると感じる部分もいくつかありました。

中須賀様:データの流れが少し見えづらい部分はあるとも感じました。システム内のデータの流れをまとめたドキュメントなどがこれから充実していくと、もっとイメージがしやすくなっていくのかなと思います。

野口様:また、設定周りで言えば我々が取り扱う商品の形に関して、どのように設定しなければいいのかが、やや分かりづらいということも感じました。おそらく、洋服だけ、ホーム商材だけといったように、一つのカテゴリージャンルの商品だけを扱っている場合であればもう少し設定しやすいと思うのですが、我々は洋服やバッグ、シューズなど、取り扱いジャンルが多岐にわたります。それぞれのジャンルで表示したいパラメータが異なるため、そうした場合の設定がもっとやりやすくなると嬉しいですね。海外製のソリューションなので、設定の日本語訳が一部奇妙になってしまっていたことも一因かもしれません。

加えて、税金や商流などの日本独自のビジネス文化に対する適応性は、やはりしっかりと考えていく必要があると感じました。日本ならではのルールやMiraklが当初想定していたベストプラクティスから外れてしまうときにどうするのかというベストな解は、まだ検討していく必要があるのかなと思います。

客本様:たとえば、海外の商習慣には仮引当がないんですよね。「日本の商習慣に合わせてシステムの精度を上げるためにはどう実装すればいいか」という議論が事前にできると、これから導入する人に役立つのかなと思いますね。

内藤:なるほど。確かにそうですね。

野口様:そういう意味では、最初に、最小限の実装を実際にやってみるワークショップがあれば、もっと理解が早かったのかもしれないですね。今回は、とにかく走り出してみて、問題に当たれば一つずつ解決していくという方法を取りましたが、もう少し準備に時間をかけた方がトータルのコストは抑えられたかもしれません。

内藤:皆様は日本でのファーストペンギンになるので、先行事例もなかったですしね。

野口様:そうですね、だからこそ苦労しました。フランス語だからか、海外のエンジニア系サイトで探してもなかなか事例が出てこないんですよね。なので、過去の問い合わせを集約したテック向けのユーザーフォーラムなどがあれば、いいかもしれないですね。

Miraklのカスタマーサクセスは、密なコミュニケーションと適切な距離感で活用

内藤: Miraklのカスタマーサクセスに対しても、ご意見をお伺いできればと思います。良いところや逆にご要望があればお話しいただけますか。

中須賀様:夜遅くまでこちらの問い合わせに付き合っていただけて、ありがたかったですね。

田名部様:フランクに会話ができますし、レスポンスもクイックで、非常に助かりました。

客本様:カスタマーサクセスだけでは解決できないことも、すぐにサポートやプロダクトチームに問い合わせていただき、クイックにレスポンスしていただけました。特に、APIがMirakl側のシステムでどのように動いているかということについてプロダクトチームに問い合わせいただくケースが多かったのです。今後、こちらでもそれが見えるようになったり、あるいはMiraklのカスタマーサクセスがその部分にもっと強くなっていただけると、さらに開発がやりやすくなると思いました。

野口様:他のシステムの導入ではSIerさんが常駐して厚くサポートするというケースもありますが、今回はこれから長く活用していくためにも、ある程度自分たちで習得していかなければならない部分があったと感じていました。そのため、基本的には我々が自ら考えたり調べたりして様々なアプローチを試しながら、分からない部分は教えていただくという距離感がちょうど良かったですね。

客本様:開発に入ってから、一度Miraklのカスタマーサクセスの方々とお食事をする機会があったのですが、そこでお互いの人となりが分かってからは、コミュニケーションが格段に取りやすくなったと感じました。最初にどのような人たちと仕事をするのかが分かるとやりやすいというのは、今回すごく実感しましたね。

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今後、Miraklを導入される企業やエンジニアの皆様へのメッセージ

内藤:日本でこれからMiraklを導入いただく企業様や、エンジニアの皆様に向けて、何かアドバイスをいただけますか。

田名部様:いきなり開発に入る前に、商品登録やオファー登録のフローチャートを頭の中で整理してから、開発に着手した方が良いと思います。

中須賀様:MiraklにはいろいろなAPIがあるので、Miraklのプラットフォームをどのように使いたいのかというイメージをきちんと固めてから必要なAPIを選定していった方が、工数も抑えられますし、品質面でも良いものができると思います。

野口様:我々は、とりあえず試しに動かしながら学んでいきましたが、できれば事前に最小限の実装やプロトタイピングを行う時間を確保し、何がどう動くのかを理解することがおすすめです。それによって見えるものがありますし、Miraklのソリューションとしての思想や文化も分かるので、その後の議論も全体的に進めやすくなります。

また、日本のSIer文化として、分からなければすぐに聞くという傾向がありますが、まずは自分で手を動かしながら触ってみる、調べてみるということもとても大事なのではと思います。

内藤:ありがとうございます。最後に、今後の展望やMiraklに対する期待などがあれば教えてください。

野口様:Go-Liveという一つのマイルストンを無事に迎えることができてホッとしているところではありますが、まだまだ課題は多いので、今後も検索体験やユーザー体験の向上などを通して、サービスの質をより高めていきたいと思っています。さらに、今後Miraklに新しい機能が増えればその導入も検討するなど、Go-Liveの次のフェーズを、いろいろと考えていきたいですね。

内藤:本日はいろいろと貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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いかがでしたか。la belle vie様のITチームの皆さまには、実際の開発経験を通して忌憚のないご意見をたくさんいただきました。今回のお話が今後開発に携わる方々のお役に立つことを願うと同時に、当社としてもよりよいサービスの提供につなげていければと考えています。

マーケティングディレクター
Hidekatsu Matsuyama,
マーケティングディレクター

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